ヘバーデン結節は、関節の変形の一種で、主に中高年の女性に多くみられる手指の腫れや痛みのことです。 ヘバーデン結節の原因は、加齢による軟骨の変性や女性ホルモンの低下、遺伝的要因などが考えられていますが、今のところはっきりと解明されてはいません。
これらの症状に対して、漢方薬が有効であるとされており、実際に服用して効果を実感している人も少なくありません。
そこで本記事では、ヘバーデン結節に効果が期待できる漢方薬の種類や、服用時のポイントについて詳しく解説します。
へバーデン結節に漢方薬は効果的?
へバーデン結節に対して、漢方薬は効果が期待できます。漢方薬とは、植物や動物、鉱物などの天然由来の生薬を組み合わせた薬剤のことを指します。
漢方薬は、証(しょう)と呼ばれる個人の体質に合わせて処方されるのが特徴です。へバーデン結節は、中高年の女性に多くみられる変形性指関節症の一種で、加齢による関節軟骨の変性や磨耗、女性ホルモンの低下、遺伝的要因などが原因と考えられています。
漢方薬は、関節の炎症を抑える作用や、女性ホルモンのバランスを整える作用、血行を改善する作用などにより、これらの要因に対してアプローチします。西洋医学とは異なる観点から、体質改善を通じてへバーデン結節の症状改善を目指すのが漢方薬の特長です。ゆえに、へバーデン結節の進行を遅らせたり、痛みや腫れを和らげたりする効果が期待できるのです。適切に漢方薬を活用することで、QOLの改善につなげることができる可能性があります。
そもそも漢方とは
漢方とは、中国で生まれた伝統医学のことを指します。日本では、中国の伝統医学に日本独自の工夫を加えて発展してきました。
漢方では、体質や症状に合わせて、複数の生薬(植物・動物・鉱物など)を組み合わせた「漢方薬」を使用します。西洋医学のように、病名によって画一的に薬を決めるのではなく、患者さん一人ひとりの体質や症状に応じて、きめ細やかに漢方薬を処方するのが特徴です。
漢方の特徴としては、自然治癒力を高めること、体質改善を目指すこと、副作用が少ないことが挙げられます。一方、西洋医学は対症療法的であり、病名に応じて治療を行うことが多く、副作用のリスクも比較的高いと言えます。
漢方薬は、現代医療の中でも重要な役割を果たしており、多くの医療機関で処方されています。へバーデン結節のような慢性的な症状に対しても、漢方薬が用いられることがあります。
漢方では「証」と「気・血・水」が重要
漢方は、その人の体質や症状に合わせた個別化医療です。そこで重要なのが「証」と「気・血・水」という概念です。
証
その人の体質や症状を総合的に判断して分類したもので、たとえば「気虚証」「血虚証」「水滞証」などがあります。
気・血・水
人体の生理機能が円滑に働くために不可欠な3つの要素です。
- 気:生命エネルギー。「自律神経(身体の機能を調整する神経)」の働きに近いと考えられている。
- 血:全身を巡ってさまざまな組織に栄養を与える。主に血液を指す。
- 水:血液以外の体液全般に相当し、水分代謝や免疫システムなどに係っているもの。
漢方では、証によって気・血・水のバランスが乱れていると考えます。そのため、漢方薬は証に合わせた処方で、バランスを整えることで症状を改善します。
証 | 気 | 血 | 水 |
気虚証 | 不足 | 正常 | 正常 |
血虚証 | 正常 | 不足 | 正常 |
水滞証 | 正常 | 正常 | 過剰 |
へバーデン結節の原因も、証によって異なります。たとえば、気虚証の場合、血行不良による栄養不足が原因と考えられます。一方、水滞証の場合、体内の余分な水分が関節にたまって痛みを引き起こす可能性があるのです。
証や体質に合った漢方薬を服用しよう
ヘバーデン結節の症状緩和のために漢方薬を正しく服用するには、自身の「証」を把握することが大切です。証とは、その人の体質や病状を表すもので、同じ症状でも証が異なれば処方される漢方薬も異なります。(※証に関係なく、症状などから判断して漢方薬を処方するケースもあります。)
へバーデン結節では、一般的に以下のような証が考えられます。
証 | 特徴 |
気血両虚証 | 手足の冷え、倦怠感、血色が悪い |
瘀血証 | 痛みやしびれが強い |
腎虚証 | 腰痛、頻尿、手足のほてり |
自分に合った漢方薬を選ぶことで、症状を改善する効果が期待できます。
証の分け方は、冷えや熱感、発汗の有無、体力、病状の進行具合、舌の色や形、脈の状態などから総合的に判断されるため、自己判断では正しい判断はできません。
自己判断で漢方薬を服用するのではなく、必ず漢方医に相談し、適切な証に基づいて処方してもらいましょう。
へバーデン結節の原因
へバーデン結節は中高年の女性に多くみられる指の関節の変形や痛みですが、その明確な原因はいまだ解明されていません。しかし、以下のような要因が指摘されています。
更年期以降の女性ホルモンの低下
エストロゲンには骨の新陳代謝を促進し、骨量の維持に重要な働きがあります。更年期以降はエストロゲンの分泌が低下し、骨粗鬆症のリスクが高まることに加え、へバーデン結節を発症しやすくなると考えられています。実際、発症者の8割が主婦であるという報告もあります。
遺伝的要因の可能性
母娘間や姉妹間、家族内発症例の多さから、遺伝が発症に関与している可能性が示唆されていますが、科学的にはまだ証明されていません。
その他の要因
外傷、甲状腺疾患、糖尿病などの基礎疾患がある場合、へバーデン結節のリスクが高まるとの指摘もあります。へバーデン結節の原因は複合的であり、これらの要因が組み合わさって発症に至ると考えられています。漢方薬による治療を検討する際は、こうした原因にも目を向ける必要があるでしょう。
へバーデン結節に効く漢方薬の種類
次に、へバーデン結節でよく処方される漢方薬の種類を紹介します。
- 越婢加朮湯(ツムラ28)
- 桂芍知母湯(クラシエ)
- 桂枝加朮附湯(ツムラ18)
- 疎経活血湯(ツムラ53)
- 桂枝茯苓丸加薏苡仁(ツムラ125)
- 当帰四逆加呉茱萸生姜湯(ツムラ38)
- 麻杏薏甘湯(ツムラ78)
- 大防風湯(ツムラ97)
越婢加朮湯(ツムラ28)
越婢加朮湯(えっぴかじゅとう)は関節の熱感や腫れ、痛みを伴うへバーデン結節の初期段階で用いられることが多い漢方薬です。この処方は、身体の熱やこわばりを取り除き、余分な水分を排出する働きがあります。
越婢加朮湯の主な生薬構成と、それぞれの働きは以下の通りです。
生薬 | 主な働き |
麻黄 | 発汗作用、利水作用 |
石膏 | 清熱作用、除煩作用 |
生姜 | 発汗作用、解表作用 |
大棗 | 補気作用、緩和作用 |
甘草 | 緩和作用、調和作用 |
蒼朮 | 利水作用、健脾作用 |
これらの生薬が協調して、関節の炎症を鎮め、むくみを取り、痛みを和らげる効果が期待できます。
ただし、越婢加朮湯は比較的体力のある人に適した処方です。虚弱体質や胃腸の弱い人、発汗の多い人などには不向きな場合もあるため、専門家に相談しながら服用しましょう。
また、越婢加朮湯で一定の効果が得られたあとは、薏苡仁湯(ヨクイニントウ)に切り替えることで、さらに体質改善を図ることができます。薏苡仁湯には利水作用と除湿作用があり、むくみや関節の腫れを改善する効果が期待できるのです。
このように、越婢加朮湯と薏苡仁湯を適切に組み合わせることで、へバーデン結節の症状改善と体質改善の両面からアプローチすることができると言えるでしょう。
ヘバーデン結節に用いられる漢方薬の中で最もポピュラーで比較的効き目があるものが越婢加朮湯です。
桂芍知母湯(クラシエ)
桂芍知母湯(けいしゃくちもとう)は、手足の冷えを改善し、むくみを取る働きのある漢方薬です。身体を温め、痛みを発散させる作用があります。具体的には、関節痛や神経痛、冷えによる痛み、手足のしびれやこわばりに適応します。冷え症で、体力のあまりない人に向く漢方薬です。
生薬 | 主な働き |
桂皮 | 身体を温める |
芍薬 | 筋肉の緊張をほぐす |
知母 | 身体の余分な水分を取り除く |
牡丹皮 | 血流を改善する |
へバーデン結節は手指の関節に生じる変形ですが、手指の血流が滞り、むくみが生じていることが多いです。桂芍知母湯を服用することで、手指の血流が改善され、むくみが取れることで変形の進行を遅らせる効果が期待できます。
ただし、桂芍知母湯に含まれる生薬の副作用として、胃痛や下痢などの消化器症状がみられることがあります。また、体質や体調によっては合わない場合もありますので、服用前に医師や薬剤師に相談することをおすすめします。
桂枝加朮附湯(ツムラ18)
桂枝加朮附湯(けいひかじゅつぶとう)は、痛風や関節リウマチなど痛みや炎症を伴う症状に用いられる漢方薬の一つです。
特に、冷えによって痛みが悪化する方に適しています。桂枝加朮附湯には、身体を温める作用のある桂皮(ケイヒ)や附子(ブシ)などの生薬が含まれており、冷えを改善することで痛みを和らげる効果が期待できます。
生薬 | 主な働き |
桂皮 | 血行を促進し、身体を温める |
朮 | 水はけをよくし、むくみを取る |
附子 | 強力な温める作用で冷えを改善 |
お風呂に入ると痛みが楽になるという症状も、冷えが関与していることを示唆しています。桂枝加朮附湯は、冷えによる血行不良を改善し、手足のこわばりを和らげる働きがあります。
また、桂枝加朮附湯は体力虚弱で汗が出やすく、尿量が少ない方にも適しています。この処方に含まれる朮(ジュツ)には利尿作用があり、余分な水分を排出することでむくみを改善します。
ただし、胃腸が弱い人や著しく体力が低下している人は、附子(ブシ)の副作用に注意が必要です。
疎経活血湯(ツムラ53)
疎経活血湯(そけいかっけつとう)は、血流を改善し、痛みや腫れを和らげる働きのある漢方薬です。当帰、芍薬、川きゅう、沢瀉などの生薬が配合されています。
生薬 | 主な働き |
当帰 | 血流を改善し、痛みを和らげる |
芍薬 | 痛みを和らげ、筋肉の緊張をほぐす |
川きゅう | 血流を改善し、痛みを和らげる |
沢瀉 | 利尿作用があり、むくみを改善する |
へバーデン結節による手指の痛みやこわばりに対して、疎経活血湯が処方されることがあります。血流を改善することで患部の循環がよくなり、痛みや腫れの緩和が期待できます。
ただし、胃腸が弱い人や、のぼせ、めまいなどの症状がある人は注意が必要です。
桂枝茯苓丸加薏苡仁(ツムラ125)
桂枝茯苓丸加薏苡仁(けいしぶくりょうがんかよくいにん)は、桂枝茯苓丸に薏苡仁を合わせたもので、瘀血の改善と利水効果があります。
生薬 | 主な働き |
桂枝 | 発汗作用、鎮痛作用 |
茯苓 | 利尿作用、抗炎症作用 |
牡丹皮 | 鎮静作用、抗炎症作用 |
桃仁 | 鎮痛作用、抗炎症作用 |
薏苡仁 | 利尿作用、抗炎症作用 |
桂枝茯苓丸加薏苡仁に含まれるこれらの生薬の複合作用により、へバーデン結節による手指の痛みや腫れを和らげ、こわばりを改善します。
また、この漢方薬は手足の冷えにも効果があるとされています。手指の血行を改善することで、こわばりを和らげ、痛みを緩和します。
当帰四逆加呉茱萸生姜湯(ツムラ38)
当帰四逆加呉茱萸生姜湯(とうきしぎゃくかごしゅゆしょうきょうとう)は、ツムラが製造販売する漢方薬の一つです。当帰(とうき)、桂皮(けいひ)、芍薬(しゃくやく)、木通(もくつう)、細辛(さいしん)、甘草(かんぞう)、大棗(たいそう)、呉茱萸(ごしゅゆ)、生姜(しょうきょう)の9種の生薬から構成されています。当帰四逆湯だけでも効果はあるのですが、呉茱萸と生姜を加味し、冷え症に応用されています。特に、手足の冷えを感じやすい人で、足の冷えが強く、ときに足や下腹部が痛くなりやすい場合によいとして、女性に用いられることが多い処方です。
血流をよくし、冷えを改善する効果が期待できます。こちらは四肢の冷えが強く、血虚などもみられる場合などに向いている漢方薬です。
生薬 | 主な働き |
当帰 | 血行を促進し、新陳代謝を高める |
細辛 | 身体を温める |
通草 | 利尿作用、むくみを取る |
呉茱萸 | 手足の冷えを改善 |
生姜 | 身体を温める |
へバーデン結節は、手指の関節の変形や痛みを伴う疾患ですが、冷えが症状を悪化させる要因の一つとされています。当帰四逆加呉茱萸生姜湯は、冷えを改善し血行を促進することで、へバーデン結節の痛みや腫れを和らげる効果が期待できます。
麻杏薏甘湯(ツムラ78)
麻杏薏甘湯(まきょうよくかんとう)は、麻黄、杏仁、薏苡仁、甘草の4つの生薬からなる漢方薬です。配合生薬に麻黄が含まれている麻黄剤の一つで、むくみ消退、鎮痙などの作用により、しびれや痛みを改善する漢方薬です。体力が中くらいの人の関節痛、神経痛、筋肉痛、いぼ、手足の荒れ(湿疹や皮膚炎)などに用いられます。
生薬 | 主な働き |
麻黄 | 発汗作用、鎮痛・消炎作用 |
杏仁 | 鎮咳・去痰作用、鎮痛・消炎作用 |
薏苡仁 | 利水作用、消炎作用 |
甘草 | 鎮痛作用、抗アレルギー作用 |
麻杏薏甘湯は、全身の血行を促進し、新陳代謝を高めることで、結節部の炎症を鎮静化する働きもあります。桂枝加朮附湯には劣ることが多いため、桂枝加朮附湯が効かなかった方に対しておすすめの漢方薬です。
大防風湯(ツムラ97)
大防風湯は、防風、荊芥、薄荷、蒼朮、当帰、芍薬、生姜、甘草、大黄などからなる漢方薬です。へバーデン結節による関節の腫れや痛みに効果があるとされています。
以下のような働きが期待できます。
生薬 | 主な働き |
防風、荊芥 | 発汗作用、解熱作用 |
薄荷 | 発汗作用、鎮痛作用 |
蒼朮 | 利水作用、消炎作用 |
当帰、芍薬 | 鎮痛作用、抗炎症作用 |
生姜 | 発汗作用、鎮痛作用 |
甘草 | 鎮痛作用、抗アレルギー作用 |
大黄 | 瀉下作用、解毒作用 |
大防風湯は、関節リウマチなどの炎症性の関節疾患にも用いられる処方です。へバーデン結節の初期段階で、こわばりや痛みが強い場合に服用するとよいでしょう。ただし、のぼせや胃腸虚弱の方は注意が必要です。
防風湯は、かなり体調が悪いことに加え、寒証の方の症状を改善する漢方薬ですがへバーデン結節にも効きます。
しかし、よくなる確率は桂枝加朮附湯や麻杏薏甘湯には劣るため、これらが効かなかった方に対しておすすめの漢方薬です。
へバーデン結節で漢方薬を服用する際に考えられる副作用
漢方薬は自然由来の成分からできているため、副作用の心配が少ないとされています。しかし、以下のような副作用が起こる可能性もゼロではないため、服用時は自身の身体とよく向き合い、違和感は見逃さないように注意してくださいね。
副作用 | 症状 |
胃腸障害 | 胃部不快感、食欲不振、下痢など |
肝機能障害 | 肝臓の働きが低下 |
アレルギー反応 | 発疹、かゆみなど |
特に、肝機能が低下している方や、アレルギー体質の方は、漢方薬を服用する前に医師に相談することをおすすめします。
また、漢方薬は長期間服用することが多いため、定期的な検査を受けて副作用の有無を確認することも大切です。副作用が現れた場合は、すぐに服用を中止し、医師に相談しましょう。
へバーデン結節には食生活も重要
へバーデン結節の予防や悪化防止には漢方薬と併せて食生活の見直しも大切です。
女性ホルモンの分泌を安定させるには、大豆製品や小魚、海藻類などの摂取がおすすめです。腎臓の働きをサポートするには、ゴボウ、レンコン、黒豆などが効果的とされています。
食材の種類 | 具体例 |
女性ホルモンを補う食材 | 大豆製品、小魚、海藻類 |
腎臓の働きをサポートする食材 | ゴボウ、レンコン、黒豆 |
骨を強くする食材 | 乳製品、小魚、海藻類 |
また、骨を丈夫にするためには、カルシウムやビタミンDを多く含む乳製品や小魚、海藻類の摂取が有効です。
一方で、利尿作用のあるコーヒーなどのカフェイン飲料は骨からカルシウムが溶け出しやすく、水分量も少なくなるため控えめにしましょう。
以下の項目で詳しく確認してみてください。
女性ホルモンを補う食材
へバーデン結節の要因の一つとして、女性ホルモンの低下が挙げられます。そのため、漢方薬と一緒に女性ホルモンを補う食材を積極的に生活の中に取り入れてみてください。
食材 | 含まれる成分 |
大豆製品 | イソフラボン |
アマニ油・ゴマ | リグナン |
アボカド | β-シトステロール |
特に大豆イソフラボンは、エストロゲン様作用があることで知られています。納豆、豆腐、味噌などの大豆製品を毎日の食事に取り入れるのがおすすめです。
アマニ油やゴマに含まれるリグナンも、女性ホルモンを補う働きが期待できます。サラダにアマニ油をかけたり、ゴマをふりかけたりするのもよいでしょう。
アボカドに含まれるβ-シトステロールは、植物性エストロゲンとして知られています。アボカドをサラダやサンドイッチに加えるなど、手軽に摂取できますね。
女性ホルモンを補う食材と一緒にバランスの取れた食事を心がけることで、へバーデン結節の予防・悪化防止に役立ちます。手っ取り早くサプリメントで取り入れるのもいいでしょう。
腎臓の働きをサポートする食材
腎臓の機能低下も、へバーデン結節の悪化につながる要因かもしれないと言われています。腎臓の働きをサポートする食材も積極的に摂取しましょう。
食材 | 効果 |
大豆 | たんぱく質や食物繊維が豊富。腎機能を保護 |
玄米 | ビタミンB1などが豊富。 |
わかめ | カリウムが豊富。ナトリウムの排出を助ける |
きのこ類 | 食物繊維やビタミンDが豊富。腎機能を保護 |
腎臓は、老廃物や余分な水分を尿として排出する重要な臓器です。 腎機能が低下すると、体内に尿酸などの老廃物が蓄積しやすくなります。 へバーデン結節のある方は、腎臓の健康維持を心がけ、腎臓に負担をかけない食生活を送ることが大切です。
骨を強くする食材
へバーデン結節の予防や悪化防止のためには、骨を強くする食生活も大切です。特に、カルシウムやビタミンDを多く含む食材を積極的に摂取しましょう。
骨を強くする代表的な食材には以下のようなものがあります。
食材 | 含まれる栄養素 |
小魚(しらす、ちりめんじゃこなど) | カルシウム |
乳製品(牛乳、チーズ、ヨーグルトなど) | カルシウム |
緑黄色野菜(小松菜、ほうれん草など) | カルシウム、ビタミンK |
きのこ類(しいたけ、えのきなど) | ビタミンD |
また、ビタミンDの生成を助ける5〜10分程度の日光浴も大切です。紫外線予防をしっかりし、適度な運動と合わせて、骨の健康維持に努めましょう。
コーヒーなどのカフェインは控える
へバーデン結節の発生にカフェインの摂取が関係するという報告があります。しかし、医学的根拠は解明されてはいません。
因果関係は不明であるため、まったく取ってはいけないわけではないですが、飲み過ぎはよくないでしょう。多くても一日1杯程度にとどめておくことをおすすめします。
カフェインを多く含む飲料は以下の通りです。
- コーヒー
- 紅茶
- 緑茶
- ウーロン茶
- エナジードリンク
- コーラ
代わりに、以下のようなノンカフェインの飲料を飲むのがおすすめです。水分不足は身体の循環も滞る上に、涼しい気温であっても熱中症などの心配はあります。逐一水分は摂るように心がけましょう。
- ルイボスティー
- ハーブティー(カモミールなど)
- 麦茶
- 白湯
へバーデン結節で漢方薬を服用する際のポイント
最後に、へバーデン結節で漢方薬を服用する際のポイントを押さえておきましょう。
- 大豆イソフラボン製剤を併用するのも有効
- 全身の血行を改善する
- 用法用量を守り服用する
- 自己判断で途中で服用を辞めない
- 漢方薬を飲んでいるからと安心せず日常生活から見直す
一つひとつ確認し、痛みの緩和や悪化の防止に役立ててくださいね。
大豆イソフラボン製剤を併用するのも有効
ヘバーデン結節の治療に漢方薬を使用する際、大豆イソフラボン製剤を併用することで、より高い効果が期待できます。大豆から生み出される成分「エクオール」が、ゆらぎ期を迎えた女性の健康と美容をサポートする成分として、いま注目されています。大豆イソフラボンには、以下のような作用があるためです。
大豆イソフラボンの作用 | 主な働き |
女性ホルモン様作用 | 骨量減少の抑制 |
抗酸化作用 | 軟骨の炎症を抑える |
コラーゲン産生促進 | 軟骨の修復を助ける |
大豆イソフラボン製剤は、更年期障害の治療薬としても使用されており、ヘバーデン結節にも有効だと考えられています。また、サプリメントや大豆製剤に抵抗がある方は、大豆製品の食事からの摂取も心がけるとよいでしょう。
全身の血行を改善する
へバーデン結節の症状緩和には全身の血行をよくしましょう。血流が滞ると関節の痛みや腫れが悪化しやすくなる可能性があるためです。日常生活の中で、以下のような行動をルーティーン化することをおすすめします。
適度な運動 | ウォーキングやストレッチなどで身体を動かし血流アップ |
入浴 | 38〜40度のぬるめのお湯に15〜20分ほどつかり血行促進 |
マッサージ | 指の付け根から指先に向かって優しくもみほぐす |
ツボ刺激 | 合谷(こうこく)外関(がいかん)のツボ押し※合谷(こうこく)手の甲側にある、親指と人差し指の付け根の間のくぼみにあるツボ※外関(がいかん)前腕の外側、手首の上約3横指の部分にあるツボ |
血流がよくなれば、栄養や酸素が関節に届きやすくなり、ダメージ回復が促されるのです。
ツボ刺激にある合谷(こうこく)は、手の甲側にある、親指と人差し指の付け根の間のくぼみにあるツボ、外関(がいかん)は、前腕の外側、手首の上約3横指の部分にあるツボです。
これらのツボを気持ちいいと感じる程度で押すことで、手指の血行を促進し、へバーデン結節の痛みやこわばりの緩和に役立つことが期待できます。ツボ刺激はセルフケアとして手軽に行えるため、漢方薬の服用と併せて取り入れることをおすすめします。
ただし、強く押しすぎるとかえって痛みが悪化する恐れがあるため、優しく刺激するようにしてください。
用法用量を守り服用する
漢方薬は症状や体質に合わせて処方されますが、服用する際は医師の指示に従い、用法用量を守ることが大切です。
漢方薬 | 1日の服用量目安 |
煎じ薬 | 1日2~3回に分けて服用 |
エキス剤 | 1日2~3回に分けて服用 |
丸薬・錠剤 | 1日3回食前または食間に服用 |
定められた用量を守らないと、期待する効果が得られません。
また、漢方薬は即効性があるわけではないため、じっくりと服用を続ける必要があります。 飲み忘れのないよう、生活リズムに合わせて服用時間を決めておくとよいでしょう。 アプリなどを活用して、服用を習慣化するのもおすすめです。
漢方薬には、馴染みのある食前や食後ではなく、食間(食事と食事の間)に服用するものが多くあります。 これは、空腹時の方が効き目がよく、食事の影響を受けにくくするためです。 食間服用の目安は、食後2時間以上経過してから服用し、次の食事の30分以上前には飲み終えるようにしましょう。
自己判断で服用を止めない
漢方薬は症状の改善を感じにくい場合でも、自己判断で服用を中断してはいけません。漢方薬は西洋薬と異なり、じわじわと効果が現れるのが特徴です。
漢方薬の効果が実感できるまでには個人差がありますが、最低でも1ヶ月〜3ヶ月程度は継続して服用することが大切です。途中で服用を辞めると、せっかくの効果が台無しになってしまいます。また、症状がよくなったからといって急に服用を止めると、リバウンドを起こしてしまう可能性があるので注意が必要です。
漢方薬の服用を中止する際は、自己判断で途中で服用を止めず必ず医師に相談し、指示に従って徐々に減量・中止するようにしましょう。
漢方薬を飲んでいるからと安心せず日常生活から見直す
漢方薬を服用することは、へバーデン結節の症状改善に一定の効果が期待できます。しかし、漢方薬はあくまでも補助的な役割であり、日常生活の改善なくしては根本的な解決にはなりません。
具体的には、以下のような生活習慣の見直しが大切です。
- 偏った食事を避け、バランスの取れた食生活を心がける
- 適度な運動を取り入れる
- ストレスをためないよう、十分な睡眠と休養を取る
- 喫煙や過度な飲酒は控える
漢方薬の服用と並行して、このような生活改善に取り組むことで、へバーデン結節の予防と症状のコントロールにつながります。漢方薬に頼りきるのではなく、生活全般を見直すいい機会ととらえ、できることから実践してみてください。
漢方薬を取り入れ、ヘバーデン結節の進行を防ごう
漢方薬はへバーデン結節に効果があることをお伝えしました。しかし、服用にあたっては専門家のアドバイスを受け、生活習慣の改善と組み合わせることが重要です。
また、漢方薬の選択は、自身の証(体質や症状)に合った処方が大切です。医師に相談する際は、自身の身体によく向き合い、どういった状態なのか把握しておくことも重要です。
ヘバーデン結節での代表的な漢方薬の処方としては、越婢加朮湯、桂枝茯苓丸加薏苡仁、当帰四逆加呉茱萸生姜湯などがあります。これらの漢方薬は、血流改善、むくみ解消、炎症鎮静などの作用により、へバーデン結節の諸症状を和らげます。
ただし、漢方薬は万能ではありません。飲み方を誤ると効果が得られないだけでなく、副作用のリスクもあります。服用は医師の指示に従い、定められた用法・用量を守りましょう。
また、漢方薬と並行して、バランスの取れた食事や適度な運動など、生活習慣の改善も欠かせません。特に、大豆製品など女性ホルモンの分泌を促す食品や、カルシウムを多く含む食材の摂取がおすすめです。
漢方薬服用中は、症状の変化を見逃さず、異変があれば速やかに医師に相談しましょう。自己判断で服用を中断するのは避け、症状がよくなっても急に止めるのは控えます。
へバーデン結節の治療において、漢方薬は選択肢の一つですが、それ以上に大切なのは、疾患と向き合う姿勢です。漢方薬を上手に活用しつつ、生活全般を見直していくことが、症状のコントロールと予防につながりますよ。
コメント