ヘバーデン結節は40代以降の女性が多く発症する原因不明の病気です。更年期に伴う、女性ホルモンの低下が原因の一つと考えられています。私自身、更年期になるとホルモンバランスが崩れ、頭痛やめまいなど体調が悪くなることがありました。
こうした経験から、女性ホルモンの働きや、その変化が体に与える影響について深く考えるようになりました。そこで今回は、更年期に発症しやすいといわれているへバーデン結節について、女性ホルモンとの関係やエクオールという成分に着目し、詳しく解説していきます。
へバーデン結節は女性が発症しやすい病気
へバーデン結節は、40代以降の女性が発症することが多い原因不明の病気です。
人差し指から小指にかけての第一関節が赤く腫れ上がり、変形して曲がってしまうのが特徴です。
明確な原因はわかっていませんが、更年期によって女性ホルモンの分泌が低下することで、発症するのではないかと推測されています。また、手を頻繁に使う職業の人や家事などで手を酷使する人に発症しやすいとされています。
残念ながら、現時点ではへバーデン結節に対する明確な治療法は確立されていません。そのため、症状に合わせて様々な治療法を試しながら、痛みや変形の進行を抑えていく必要があります。
へバーデン結節については、下記の記事で詳しく解説しています。
『ヘバーデン結節ってどんな病気?原因や治療法・気になる疑問を徹底解説』
へバーデン結節と女性ホルモンの関係
へバーデン結節と女性ホルモンは、大きく関係しているといわれています。
ここでは、女性ホルモンの役割とへバーデン結節との関係について紹介します。
エストロゲン
エストロゲンは、女性ホルモンの一種で、女性らしい体つきや肌の美しさを保つ重要な役割を果たしています。思春期になると分泌量が増加し、生殖器官の発育や維持に必要です。エストロゲンの分泌量は、20代でピークを迎え、およそ20年間の性成熟期を経て、45~55歳の更年期に差し掛かると急激に減少します。
更年期以降は、エストロゲンの減少によって軟骨や骨が脆くなったり、関節の炎症が治りにくかったりすることがあるようです。
ヘバーデン結節の発症には、エストロゲンの分泌量の減少が大きく関わっている可能性が指摘されています。
エストロゲンには、腱や関節を包む滑膜の腫れを抑える作用があります。そのため、エストロゲンの分泌量が減少すると、滑膜が腫れて関節の動きが悪くなることで、へバーデン結節が発症するのではないかといわれています。
プロゲステロン
プロゲステロン プロゲステロンは、排卵直後から分泌量が増加する女性ホルモンの一種です。プロゲステロンは、妊娠の準備のために重要な役割を果たしています。
ロゲステロンの主な働きは、下記の3つです。
- 基礎体温を上昇させる
- 受精卵が着床しやすいように子宮内膜を安定させる
- 乳腺を発達させる
プロゲステロンは、女性の生殖機能を正常に保つために欠かせないホルモンです。ヘバーデン結節との直接的な関連性は明らかではありませんが、プロゲステロンを含むホルモンバランスが崩れることで、様々な症状が現れる可能性があります。私自身、更年期になるとホルモンバランスが崩れ、頭痛やめまいなど体調が悪くなることがありました。
へバーデン結節に関係するエクオール
へバーデン結節の発症は、女性ホルモンの低下が原因の一つと考えられています。女性ホルモンのバランスを整えるため、エクオールという物質が注目されています。
エクオールの特徴は、下記の4つです。
- エストロゲンの代わりになる
- エクオールを作れるのは日本人の40%
- 日によって生産量が変わる
- エクオールの生成の有無は検査で調べられる
エストロゲンの代わりになる
エクオールは、大豆イソフラボンが腸内細菌によって代謝されることによって生成される物質です。
エクオールは、女性ホルモンの一種であるエストロゲンと構造が非常によく似ているため、同様の効果が期待されています。
エクオールは、下記のような特徴を持っています。
項目 | 内容 |
エストロゲン様作用 | エクオールはエストロゲンと同様の作用があるエストロゲンの不足を補う 効果が期待できる |
安全性 | 大豆イソフラボンから生成される天然の物質天然の物質のため 安全性が高いとされている |
ヘバーデン結節は、エストロゲンの分泌量が減少することが原因の一つと考えられています。エクオールは、エストロゲンと同様の作用を持つため、ヘバーデン結節の予防や進行抑制に役立つ可能性があります。ただし、エクオールの効果には個人差があるため、全ての人に効果があるわけではありません。
エクオールを作れるのは日本人の40%
エクオールは、大豆イソフラボンが腸内細菌によって代謝されることで生成される物質です。定期的に大豆製品を食べることで、エクオールが生成できます。しかし、エクオールの生成に必要な腸内細菌を持っているのは、日本人の約40%程度といわれています。
そのため、エクオールの生成に必要な腸内細菌を持っていない人は、いくら大豆を食べても効果を得ることが難しいでしょう。
日によって生産量が変わる
エクオールを作れる人でも、腸内環境や大豆の摂取量によって生成量が左右されます。
腸内環境が乱れていたり、大豆の摂取量が少なかったりすると、エクオールの生成量が減少してしまいます。
逆に、腸内環境が整っており大豆製品を多く摂取できていれば、エクオールの生成量は増加するでしょう。また、エクオールは体内に蓄積されず、数日で排出されてしまいます。そのため、エクオールを継続的に作り出すためには、毎日の食事から大豆製品を摂取し、腸内環境を整えることが大切です。
具体的には、納豆や豆腐、豆乳などの大豆製品を毎日の食事に取り入れ、同時に食物繊維を多く摂取して腸内環境を整えることがおすすめです。私は腸内環境を整えるために、毎食味噌汁を作り、不溶性と水溶性の食物繊維量を増やす工夫をしていました。
エクオールの生成の有無は検査で調べられる
体内でエクオールを生成できるかどうかは、尿中のエクオール濃度を測定する検査で調べられます。この検査は、一部の病院や検査機関で実施されています。
エクオールの生成能力があると判定された場合でも、そのことがヘバーデン結節の予防や改善を保証するものではありません。逆に、エクオールを生成できないと判定された場合でも、他の治療法によってヘバーデン結節の症状を改善できる可能性があります。
女性ホルモンの代わりとなるエクオールの摂取方法
女性ホルモンの代わりとなるエクオールの摂取方法は、下記の3つです。
- ホルモン補充療法(HRT)
- 食事から摂取する
- サプリメントから摂取する
ホルモン補充療法(HRT)
ホルモン補充療法(HRT)は、更年期以降に減少したエストロゲンを補充することで、ホルモンバランスを整える方法です。
ホルモン補充療法(HRT)は、下記3つの方法があります。
- 内服薬:腸管から吸収され、肝臓を通過した後に効果を発揮する
- 貼り薬:成分が皮膚から直接血管に吸収され、効果を発揮する
- 塗り薬:成分が皮膚から直接血管に吸収され、効果を発揮する
ホルモン補充療法(HRT)を行う際は、婦人科医との相談のもと、年齢や症状、合併症の有無などを考慮して、適切な方法を決める必要があります。
食事から摂取する
体内でエクオールを生成できる人は、食事によって大豆食品に含まれる大豆イソフラボンを摂取することで、エクオールを作り出せます。エクオールの一日あたりの摂取量は10mgが目安とされています。
エクオールの一日の摂取目安量を満たすためには、一日約50〜75mgの大豆イソフラボンを含む大豆食品を継続的に摂り続けることが大切です。
具体的には、下記のような食品を毎日の食事に取り入れることがおすすめです。
- 豆腐:1/2丁(100g)
- 納豆:1パック(40g)
- 煮豆:80g
- 豆乳:125g
これらの食品を組み合わせることで、一日に必要なエクオールの摂取目安量を満たせます。
サプリメントから摂取する
エクオールを体内で作れない人やエクオールの生産量が安定しない人は、サプリメントから摂取できます。エクオールのサプリメントは、腸内細菌によるエクオール生成の有無に関わらず、誰でも摂取可能です。
サプリメントから摂取することで、毎日一定量のエクオールを補給できます。ただし、サプリメントは薬ではないため、へバーデン結節の治療効果を保証するものではありません。あくまでも食事療法の補助として活用し、併せて適切な治療を受けることが大切です。エクオールサプリメントの使用を検討する際は、婦人科医や整形外科医に相談し、自分に合った摂取方法や用量を決めていくことが重要です。
女性ホルモン以外のへバーデン結節の治療法
へバーデン結節の原因は、女性ホルモンが関係している可能性があります。しかし、明確な原因が判明していない以上、他の治療も並行して行いましょう。
一般的なへバーデン結節の治療法は、下記の3つです。
- 保存的治療
- 薬物療法
- リハビリ治療
保存的治療
保存的治療は、ヘバーデン結節の症状を和らげるための治療法です。
保存的治療の主な目的は、関節の安静を保ち、痛みや炎症を和らげることです。
具体的な方法は、下記のようなものがあります。
- 局所のテーピング:テーピングやサポーターを使用し、関節への負担を軽減させ、痛みを和らげる
- ハンドクリームを使ったマッサージ:患部をマッサージすることで、筋肉の緊張を和らげる
症状や重症度によって、適切な治療法は異なるため、医師の診断と指示に従って治療を進めましょう。
薬物療法
薬物療法は、進行予防のために早期の炎症沈静化を目的としています。
ヘバーデン結節の治療に用いられる薬物療法には、下記のようなものがあります。
- 漢方薬:体調や循環の改善を目的として用いられる
- 消炎鎮痛薬:医師の判断のもと内服する
- ステロイド注射:変形した関節の中に注射することで、痛みや腫れを軽減させる
薬物療法を検討する際は、医師と相談しながら自分に合った治療法を選択することが重要です。
リハビリ治療
リハビリ治療は、ストレッチや筋力トレーニング、関節可動域を拡大するエクササイズ等を組み合わせることで、手のこわばりや痛みを改善することを目的とした治療法です。
具体的には、下記のような治療を行います。
- ストレッチ:手の筋肉や腱を伸ばすことで、柔軟性を高め、こわばりを改善する
- 筋力トレーニング:手の内在筋を中心に筋力を強化し、痛みを軽減する
- 関節可動域エクササイズ:手の関節を動かすエクササイズを行うことで、可動域を拡大する
リハビリ治療は、必ず医師の指導のもと行いましょう。自己流のストレッチやエクササイズは、症状を悪化させる可能性があるため注意が必要です。
へバーデン結節の治療には女性ホルモンも大事
本記事では、へバーデン結節と女性ホルモンの関係、エクオールの特徴について解説しました。
ヘバーデン結節は40代以降の女性が多く発症する原因不明の関節変形です。女性ホルモンの一つであるエストロゲンの低下が、原因の一つと考えられています。
大豆イソフラボンから生成されるエクオールは、エストロゲンの代わりとなる物質として注目されています。しかし、体内でエクオールを生成できる人は、日本人の40%といわれています。そのため、医師と相談しながら、ホルモン補充療法やサプリメントなど、適切な摂取方法を選択しましょう。また、保存的治療や薬物療法、リハビリ治療などの治療と並行して進めることが大切です。
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